二人静【生鱈子と葱の小鍋立て】
静御前に憑依された菜摘女が、静御前の霊と並んで舞うという笑。
二人で相舞う難しい曲。
ワタシの所属する流派では、同じ力量の名手が2人同時に揃うことはありえない、とのことである時代から舞われなくなったらしい。
某時代劇シリーズが終わり。
風邪をひいて家にいたので、つい見てしまった笑。
きっと良い作品は、全ての要素が揃った一瞬に成立して、衰えの影が濃くなり過ぎないうちに終わった方が良いのだろうなあ…なんて。
さて、オマージュという訳ではないけれど笑。
ドラマ原作者の池波さんも愛した小鍋立て。
彼によれば小鍋立てはせいぜい二、三種類の具が粋で、二人しっぽりつつくのだそう…
そんな色っぽい話じゃないけど笑、子供の頃から筋金入りの病弱だったワタシ(本当です!)。
学校を休んだ冬の日のお昼は、よく一人鍋。ママゴト感も手伝って、ちょっとした具でも、なぜだか美味しく。まあ、ばあちゃんの手抜きですが笑…
でも、良く考えれば、ウチの故郷には小鍋立てや具材の少ないダケ鍋が色々。
小鍋で言えば、極寒期には、ホタテの貝殻を火鉢に掛けて塩辛を入れ、辛めの大根おろしで伸ばして千六本に切った大根を煮ながら食べたり。
時には塩辛がコンガリ糠ごと焼いたこんかにしん(にしんのへしこのこと)や、こんかいわし(いわしのへしこのこと)に代わったりしたもの。
同じ鍋で作る能登のいしる鍋は有名。
子供は寒い日学校に行く前に笑。
お父さんは夜お酒と?
ダケ鍋なら、あぶチリ(田舎あげとなっぱ)や、ふかし(丸く薄い、蒸した練りもの。関西ではあんぺい。はんぺんほどふかふかしていない)と青葱の鍋etc.etc...
鱈なら、白子と芹だけの鍋。
味付けも潔く。
酒と醤油。
多分、池波さんが育った頃の東京も、まだ、江戸前の気風残る海の街。
似ているのも道理かも。
ま、今の東京では鮮度的に難しいけど…
その代わり、今日は珍しく良い鱈の真子があり。
白子と違って、甘みやトロミは葱さんから。
鮮度が少し…の時は生姜のスライスを一枚。
二人静かに笑。
ー生鱈子と葱の小鍋立て(2人分)ー
- 生鱈子(真子) 1腹
- 葱 1本分
- 昆布 5センチ×8センチくらい笑
- 水 500ccくらい
- 酒 大さじ2
- 醤油 大さじ2
- 好みで七味など
- 鍋に昆布を敷き、水を入れ30分ほど置く。
- 火にかけて沸騰してきたら酒、醤油を加え、5センチほどのぶつ切りにした葱、2〜3センチ厚に筒切りにした鱈子を入れ、煮えばなを頂く。
- 好みで七味などを振る。