たからもの【鯛と沢庵の混ぜ寿司】
子供の頃、沢庵の細巻きが大好きだった。
しょっぱくて、パリッとした沢庵と、酢飯の爽やかな味。良い香りの海苔の、歯切れの良さ。
胡瓜やかんぴょうは放っといて、沢庵巻きばっかり食べて怒られたっけ笑。
でも自分では作ったことがなく。
理由は沢庵。
甘くない、糠のかおりの沢庵は、現代の都会では贅沢品。目にすることすら少なくて。
そんな冬、以前住んでいた下町の美味しいモノ師匠のお姉さんから、1本頂いて。
お酒もお魚もお野菜も、いつもとびきり美味しいモノを教えてくださるお姉さん。
勿体無くて細巻きにはできなかったけど笑、宝物のようにチビチビ食べて、少しだけ大事に取って冬を越させました。
…木の芽を待ちたくて。
酢飯に刻んだ沢庵とゴマ、木の芽を混ぜ、軽く昆布締めにしておいたお刺身の鯛を散らします。木の芽がニガテな方は紫蘇でも。
塩気の薄い現代風の沢庵の場合、もっとたくさん入れて大丈夫。その時は酢飯にも塩を効かせます。
「おつゆ」はカンタンに若竹汁。
春やなぁ…笑。
〜鯛と沢庵の混ぜ寿司(2〜3人分)〜
- 酢飯 1合(寿司のえ(具)がしょっばいので寿司酢は甘めに。ウチは自家製の梅酢に塩を少し加えて使いますが、家で作る時は米酢大さじ4、砂糖大さじ2、塩小さじ1弱を基準にお好みで)
- 鯛のお刺身 1〜2人分
- 沢庵 5センチ分くらい
- 白ゴマ 大さじ2
- 木の芽 適宜
- 鯛のお刺身は酢(分量外)で拭いた昆布で挟んでラップに包み、輪ゴムで留めて冷蔵庫に入れ、1〜2時間置いて締める。
- 沢庵は薄切りにしてから細切りにする。
- 木の芽は叩いて香りを出し、香りが強いのが好みの方は一部刻んでおく。
- 鯛の昆布締めは昆布を外して食べ良い大きさに切る。
- 酢飯に沢庵、いりごま、木の芽、鯛を混ぜ、盛り付ける。
※今日は鯛を軽く締めていますが、半日ほどじっくり締め、少し醤油を垂らしたものを使っても味わい深いです。
手のひら【水餃子2種】
突然ですが、大人は手のひらを返します。
選挙の話じゃなく笑。
高校生の時の国際交流イベント。
私はモンゴルからきた画家の趙さんとTシャツづくり。
慣れないシルクスクリーンだったけど、趙さんの下宿で、1日がかりでようやく完成。
その時趙さんが一言。
「さあ、餃子を作りましょう!」
餃子!
グルメブームのずいぶん前笑。
本場の餃子なんて見たこともなく。
もう夕方だったけど、どうやら私のために、前もって材料を用意してくれていた趙さん。
…ニラと卵と豚肉の餃子を作りながら、いろんな話をして下さった。
中国では餃子にニンニクを入れず、薬味として齧りながら食べること。
春は柔らかいニラで作るけれど、季節によって素材は変わること。
当時中国は、共働きが義務だったので、男性は結婚すると急に料理が上手くなること。
唯一家族で作る餃子で、弟さんとよくイタズラしたこと。
ちなみに、本来モンゴルでは麺棒を使う文化がないのだけれど、満州族の趙さんは、漢民族の麺棒が使えるのだそう。
実は趙さん、満州の王族だったお祖父様が、戦争を嫌い、画家となってモンゴルに逃れたのが家業のルーツとか。
暖かいご家族のお話や、広い中国の歴史まで。
…行ったこともない、近くて遠い国の話。
もちろん、美味しい餃子にお腹も大満足。
食べきれなかった分はお土産に。
ただ、すっかり遅くなり、親は当然大激怒。
謎の中国人(笑!)の家で餃子なんて!と車中で大説教。
でも家でお土産の餃子を茹でた瞬間。
…初めて見ました。
大人の手のひらが返るとこ笑。
クルッと。パッと。
趙さんは一気に大ヒーロー笑。
以来水餃子は家族の好物になりました。
思い出すと、魔法の様に生地を伸ばす趙さんの手。大学で留学生の友達が教えてくれた、手をパクっと閉じる包み方。
叶わないモノはたくさんあるけど。
餃子の味は手のひらの味。
ちょっとずつ変えながら、自分の味にして行こう。
今日は作りやすい分量で、皮もあんも30個分ずつに書いていますが、中身は半分ずつ変えても。趙さんのニラ餃子はニラ多めなので、お肉感が好きな人はニラを減らしてもok。
〜水餃子2種(約30個分)〜
<皮(約30個分)>
- 小麦粉 100グラム(どの種類でも。薄く伸ばしたい人は中力や強力などグルテン分の多いものがよいかも)
- 水 50cc
- 小麦粉に水を入れ、よく練ってラップに包み、少し寝かしておく。
- 2.5センチ直径位の棒状にのばし、端から包丁で7ミリ幅くらいに切っていく。
- 麺棒で伸ばし、包む。
※趙さんのつつみ方は真ん中、左、右の3点を押さえる簡単なもの(下図)。水餃子の時は、余りひだを寄せ過ぎない方が良いみたい。生の皮はどんな形にも伸びるので、丸くならなくても全然OK!
左:皮の真ん中に餡をおいて→真ん中(赤丸)をとじ→左と右でひだを寄せる。
(真ん中と左上の図は上から見たところ。左下は横から見たところ)
<趙さんのニラあん(約30個分)>
- ひき肉 150グラム
- ニラ 3分の2束〜1束(お好みで)
- 卵 1個
- サラダ油 大さじ1
- 醤油 大さじ1
- 味噌 小さじ1
- 酒 小さじ1
- ごま油 大さじ1
- 塩こしょう
- (私は入れませんが、お好みで無添加スープの素を小さじ半分くらい入れても)
- 卵は溶いて、サラダ油大さじ1をひいて高温に熱したフライパンでざっと焼く。
- ひき肉に卵、調味料を入れて箸で混ぜる。
- にらを刻んであんに混ぜ、よく混ざったら皮で包んで茹でる。
<豚とセロリのあん(約30個分)>
- 豚ひき肉(できれば粗挽き) 180グラム
- セロリ(柔らかいもの。上の方を葉ごと) 3分の1本
- 味噌(できれば赤みそ) 大さじ1
- 酒 大さじ1
- 醤油 小さじ1
- 五香粉 小さじ3分の1
- 塩こしょう 適宜
- セロリは葉っぱごとあらみじんに刻む。
- 肉に調味料を入れてよく練り、セロリを加えてよく混ぜる。(趙さんのにら餃子は、それほど肉の食感を出したくないので、あまり練っていませんが、こちらはシンプルに肉の味を楽しみたいのでよく練ります。)
- 皮に包んで茹でる。(写真はたまたまスープがあったのでそれで茹で、特価のプチベール(開いた芽キャベツみたいなの)を入れたもの)
※餃子もラビオリも、作った瞬間に金属のバットに入れて、冷凍するとかなり長く楽しめます。
サクサク【せりと新玉ねぎのノンオイルサラダ】
「サクサク」
「サクッ」
いつのまにか食感だけじゃなく、褒め言葉になりました笑。
サクッとこなす。
サクサク進む。
意外と好感度100%?の言葉だったりして笑。
食の世界でも最近は、クッキーとかフライ以外に、乾いた軽い食感などによく使うみたい。
で。
たまには歯触りの良い生野菜をサクサク頬張りたくなることが。
若々しい芹と新玉ねぎ。
芹は、固いところは応用編1のように茹でておひたしにしたり。いやしんぼの私は根が大好物なのできんぴら(応用編2)に笑。
ドレッシングは玉ねぎ、しょう油、みりん、酢だけのシンプルレシピ。
ちょっと火を入れるのでとろみがでて、玉ねぎの甘さも引き出せます。
実は応用編の様に、冷しゃぶや和え物のたれに使っても美味しいので、ちょっと多めに作っても大丈夫。
サクサクッと作って食べちゃおうぜ。
〜せりと新玉ねぎのノンオイルサラダ〜
- せり(柔らかい部分) 2分の1束
- 新玉ねぎ 2分の1個
- 削り節 適宜
<玉ねぎの和風ノンオイルドレッシング>
(作りやすい分量)
- 玉ねぎ 4分の1個
- しょうゆ 大さじ2
- みりん 大さじ2
- 酢 大さじ2
- ドレッシングを作っておく。分量の玉ねぎをみじん切りにし、鍋に入れて空炒りする。
- しんなりして透き通ってきたら、みりんを加えて火を止め、醤油、酢を加えて冷ましておく。
- 新玉ねぎは薄切りにし、辛さをみて、大丈夫ならそのまま、辛ければ水にさらしておく。
- セリは洗って、柔らかいところを一口大に切る。(残りは別の料理に使うので大丈夫笑)
- セリと玉ねぎをざっと混ぜ、削り節、ドレッシングをかけて頂く。
〜応用編1 豚しゃぶとセリの和え物〜
- サラダの残りの芹(葉だけでなく根元に近い部分も)
- 豚ロース薄切り
- 玉ねぎの薄切り
- 玉ねぎのノンオイルドレッシング(上のサラダで作ったもの)
- 酒、塩 適宜
- 芹は塩を入れた湯でサッと湯がき、水に取る。
- 豚ロースの薄切りは酒と塩を入れた湯で霜降りにし、冷まして冷しゃぶにする。
- 水気を軽く絞り、一口大に切った芹を豚肉と和え、玉ねぎの薄切りを載せ、ドレッシングをかける。
〜応用編2 セリの根のきんぴら〜
- 芹の根 ある分
- 砂糖・酒・醤油 同量
- ごま油 少々
- 芹の根はよく洗い、株が太くなっているところは縦に切る。
- 鍋にごま油を熱し、芹の根を入れて炒め、砂糖を加えてさらに炒める。
- 砂糖が全体にちゃんと回ったら、酒、醤油を入れて水気を飛ばす。
プチ贅沢【ハーブ入りチーズスプレッド】
繁忙期にはどうしても帰りが遅くなります。
当然外食が続いたり。
買ってきたもので済ませるとか…
でも良いことも。
スーパーに寄るのも遅くなるので、出会えるんですよね。
おつとめ品笑。
足が速いお刺身とか。
あと、普段はチョットお高くて勇気が出ない、珍しい野菜とか…
なかでも、少しテンション上がるのがハーブ類。
珍しいものから定番類まで色々。
…ただ、ザンネンなのは料理する時間がないこと。
でもこれならカンタン。
お好みのものを刻んで、裏ごしタイプのカッテージチーズに混ぜて塩こしょう。
朝の食卓が少し贅沢に。
刻むのもシンドイわい!笑の人は、ミントやレモングラスをちぎって、熱湯を注げばフレッシュハーブのハーブティーの出来上がり。
香りだけでも癒されましょう笑。
※スープは前日の余り笑。
〜ハーブ入りチーズスプレッド〜
- カッテージチーズ(裏ごしタイプ) 1パック
- お好みのハーブ 1パック
- 塩こしょう 適宜
- カッテージチーズはスプーンで混ぜて少し柔らかくする。
- 細かく刻んだハーブ、塩こしょうを入れてよく混ぜる。
※食べる時にオリーブオイルをかけたり、休日ならにんにくのすりおろしを少し入れても。
今回はシブレット(西洋あさつき)。特価75円なり。
(注:日本で平成です笑)
ツンデレ【花ワサビとイカのぬた】
最初は取っつきにくいけれど、知り合ってみると甘えん坊、っていうのがツンデレ。
今回は…ツーンッッ!です笑。
忙しい忙しいと言いながら、つい出張ついでに土地の食材を探したり。
抜ける様な青空。
信州の春。
わさび屋さんの店先で、小さな白い花束が笑ってました…笑。
花ワサビの下処理を教えてくれたのは高校時代の下宿のおばさん。
一番シンプルな塩だけの味。
わさびの辛味は揮発性なので、爽やかな辛味を引き出すコツは、熱湯を注いだらキッチリ密閉すること。
最近のラップは140度位までは耐えられるので、私は水面に貼り付ける様にしています。
辛〜く仕上がったら、ぬたの酢味噌には辛子を入れず笑。
美味しいモノを見つけると、出張も旅になるのが不思議です。
〜花ワサビとイカのぬた(2人分)〜
- イカ(ゲソでもお刺身用の紋甲イカなどでも) 30グラムくらい
- 花ワサビの塩びたし お好きな量
- 酢味噌(白味噌大さじ1、酢大さじ1、みりん小さじ2、砂糖大さじ1を合わせたもの)
- 熱湯 適宜
- イカは食べよい大きさに切り、熱湯でさっと霜降りにし、水気を拭いて冷やしておく。(紋甲イカなどなら隠し包丁を入れて)
- 花ワサビの塩びたしは少し汁を切り、イカと合う大きさに切る。
- イカと花ワサビを和えて、酢味噌をかける。
<花ワサビの塩びたし>
- 花ワサビ 1束
- 塩、熱湯 適宜
- 大き目のボール(ステンレスか耐熱)を用意する。
- 湯を沸かしておく。
- 花ワサビはザッと洗って水を切り、ボールに入れて全体に薄くまぶさる程度の塩を振り、軽くもむ。
- 熱湯を花ワサビがかぶるくらい注いだら、ラップを水面ぴったりに貼り、空気が入らない様にする。
- そのまま一晩冷まし、ジップロックなどで漬け汁から花ワサビが出ない様にして冷蔵庫て保存する。
ラップはピタッと^_^。
できあがり。ツーンッッ!笑
狩漁本能笑【あさりとうどの生海苔汁】
貝続きですが笑。
憧れがありまして…。
潮干狩り。
やってみたいんですよねぇ。
…こう、なんか小っちゃい熊手みたいなので砂を掻くと、取れるんでしょう?
大貝、小貝がザクザクと。(?なんかカン違い笑⁉︎)
冗談はさておき笑。
昔から好きなんです。
収穫系。
芋掘りにいちご狩り、落花生掘り…
山の子供の頃はもちろん、山菜にきのこ。
本能、なんでしょうか…。
先日久しぶりに江ノ島に。
海の香りをいっぱいに吸い込んで。
釣り人もまぶしく。
最近は資源保護の観点から休止になっているところも出てきているようですが。
スーパーで見かけた生海苔。
漁師さんに頂いたのには敵わないけど、せめて磯の香りだけでも。
薬味はうどで香り高く。
もちろんネギでも美味しく頂けます。
〜あさりとうどの生海苔汁(4人分)〜
- 水 3カップくらい
- 昆布 5センチ角
- あさり(蛤でも可) 1パック
- 酒 50cc
- 生海苔(洗って) お好きな量
- うど 10センチ分くらい
- 薄口醤油 大さじ1.5杯
- 塩 適宜
- あさりは塩抜きし、昆布は鍋で分量の水に浸けておく。
- うどは5センチ長さに切り、皮を剥いて薄い短冊に切って軽く水にさらす。
- 昆布と水の鍋にあさりを入れ、火にかける。
- 沸騰し貝が開いてきたら酒を加え、アクをすくい、薄口醤油、塩を加える。
- 生海苔、うどを加えてサッと煮たてる。(味見して薄ければ塩で調える)
※うどの穂先は天ぷら、皮はきんぴらなどに。
別れと出会い【牡蠣と菜の花のザッと煮】
出ちゃいましたよ…。
とうとう…。
「今シーズンの牡蠣フライ終わりました」
商店街のトンカツ屋さん。
終わったか〜っっ…
時すでに遅し。
「走り」だ「旬」だに浮かれるクセに。
食べられなくなると聞くと、急に惜しくなるのが人情笑。
でもだから、「出会い」もある。
意外に好きなんですよね、引き継ぎって笑。
先輩から後輩へ。
逃げられたっっ‼︎もありつつ笑。
辛子和えもいいけど、名残の牡蠣の出汁の美味しさ。
キリッと冷やして、素麺や稲庭うどんをつけて食べてもオツです。
牡蠣の塩気にもよりますが、暖かくなると牡蠣は香りが気になったりもするので、塩分は効かせ目がオススメ。
送別会の二日酔いにも良いですよ〜
〜牡蠣と菜の花のザッと煮(4人分)〜
- 牡蠣 1パック
- 菜の花 1束
- 水 1カップ
- 昆布 5センチ角
- にんにく 2分の1かけ
- しょうが 2分の1かけ
- 鷹の爪 2分の1本分
- 酒 大さじ2
- 薄口醤油 大さじ1
- 塩 小さじ4分の1くらい
- 菜の花は下茹でしておく。
- 水に昆布を入れて、30分ほどおいておく。
- 昆布の鍋に、薄切りにしたにんにく、しょうが、鷹の爪を入れ、火にかける。
- 沸騰したら昆布を取り出し、洗った牡蠣、酒、塩を入れ、牡蠣がプクッとなり、火が通ったらいったん、取り出す。
- 鍋に薄口醤油を加え、軽く水気を絞ってザク切りにした菜の花を入れて煮る。
- 牡蠣を戻し、強火でザッと温めたら火を止め、盛り付ける。
※牡蠣を洗う時は、匂いが気になる方は大根おろしか片栗粉でしっかり洗って。生食用を使われる方や、それほど気にならない方は塩水で充分です。
※菜の花は買って来たら固めに塩茹でして水に取り、冷蔵庫で保存しますが、最初にしっかり流水で冷ましたら、神経質に水を替えすぎない方が、アクの働きで腐りにくく、香りも抜けにくいようです。
※より辛口に、くさみを抑えたい方は、お酒の代わりに麦や米の焼酎にして、香味野菜を増やしても。