未練【ふきのとう味噌】
もう一つだけ、ふきのとうの話。
東京に来たばかりの頃。
八百屋さんの店先でパックのふきのとうを見つけて、思わず匂いを嗅いだ。
「アッハッハ!おねえちゃん!パックの外から嗅いだって匂いなんかしないよ!」
おじさんの威勢の良い声。
その場では笑って合わせたけれど…
違うんだ、おっちゃん。
するんだ、匂い。
摘みたての、野生のは。
ラップなんて、モノともしない。
なんとなく寂しくなって、未練がましくそのパックを買って帰ってしまった笑。
都会のふきのとうは香りが薄い。
けど、その代わり、食べづらいアクも少ない。
刻んで、ふきのとう味噌を作るようになったのはその時から。
サッと水にさらし、軽く炒めて味噌と練ります。
味噌にしておけば長期間、香りが楽しめるのも嬉しいところ。
そのまま晩酌も良し。ご飯のお供にも良し。
小さめのニジマスのお腹に詰めて、小麦粉をはたいてムニエルにすると、これまた香ばしく。
使うお味噌の種類や、ふきのとうのアクをどれくらい活かすかで、全く違う味わいに。ちょっと開いちゃったのでも大丈夫です。
お好みの味を見つけて下さい。
都会で田舎を想うのも、冬に春を想うのも、ないものねだりの未練の気持ち笑。
でもイイじゃん。
春のよすがに。
〜ふきのとう味噌(約180グラム分)〜
- ふきのとう 80グラム
- にんにく 1かけ
- くるみ 30グラム
- サラダ油 大さじ2
- 酒 大さじ2
- みりん 大さじ3
- 砂糖 大さじ2
- にんにくはみじん切りにしておく。
- ふきのとうは大きければ縦4つ割り、小さければ2つ割りにし、小口から刻んで水にさらしておく。(アクが強ければ何回か水を替える)
- にんにく、サラダ油を鍋に入れて火にかける。
- にんにくの香りが出て来たら、ふきのとうを加えて炒める。
- 酒、みりん、味噌、砂糖を加えて中弱火で練る。
- よく混ざり、ツヤが出て来たらくるみを加え、水分が飛んでほど良い固さになるまで練り混ぜる。
- 粗熱が取れたらビンや密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存する。
※都会のスーパーで売っているものはツンとした香りやコクに欠けるので、にんにくやくるみを補っていますが、もちろんなくても大丈夫です。