うをとおなすと

おさかな買いになす買いに。のほほんな毎日をつづります。

マリアージュ【日本酒とコンテのマリアージュの会♪】

マリアージュ

良い響きですよね。

 

レシピブログさんの『日本酒とコンテのマリアージュの会』行ってきました!

 

ワインじゃなくて日本酒?!

しかもコンテ?!

 

お酒も出るということで夕方のイベント。

フワフワと遊び気分もあったのですが・・・

 

◆◆◆会場到着◆◆◆

会場に入るとテーブルに整然と資料が並べられ、プロジェクターにホワイトボード。

なにやら充実のセミナーの予感。

 

センターにどどーんとコンテの実物大レプリカも笑(古代の石のお金?と思うほど大きい・・・)。

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講師はフェルミ愛宕店店長のデグレ・ファビアンさん。

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フェルミエさんは調理師学校の頃、チーズの勉強会でお世話になった懐かしいお店。

https://www.fermier.co.jp/

 

イケメンとの御紹介でしたが、フロマジェ(チーズ商)世界一の凄腕とのこと。

https://www.fermier.co.jp/c/concours2015.php

以前お世話になっていたお取り寄せコースも、今はファビアンさんの目利きでいろいろなオプションがあるみたい・・・

 

◆◆◆コンテの世界◆◆◆

みんなが揃うとテーブルにはバトン形に切られた3種類のコンテが。

・・・大きい笑!期待が高まります・・・

 

でも試食の前にファビアンさんから熱いコンテの御紹介(御講義?)が。

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まず、コンテはフランスのAOPチーズの中で最も多く生産されている(2015年でおよそ65000トン=約160万個!!!)、まさに国を代表するチーズだということ。

 

AOP(昔はAOC)は、正しい原産地で正しくつくられた農産物、食品にのみ与えられる称号。こんなに多く生産されている食品が、厳しくも安全な体制で守られていることに、日本との違いを感じたり・・・。

 

そして話題はコンテの故郷、フランシュ・コンテ地方のことに。。。

http://minisite.franche-comte.org/japonais/index.html

(地方観光局の日本語サイト・・・チーズの見学もできるみたい!!!・・・)

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ワインのみならず、フランスの食はテロワール(土地の気候や自然環境を含めた風土のこと)。パリ条約のことが問題になっているけれど、食の大国=農業大国=自然との共生が、美食(文化)とともにあることが、やっぱり重要なのだろうなあ。。。

 

アルプスに近いジュラ地方にあるフランシュ・コンテ地方のチーズ、「コンテ」の別名は「山のチーズ」。牛から採れるミルクの味、牧草の味は、チーズの味わいにダイレクトに影響するそうです。(具体的にはテイスティングのところで)

 

もう一つ、ファビアンさんが何度もおっしゃったのが、コンテ生産農家の「連帯」ということ。。。

 

今も決められた農家さんが育てているモンベリアード種の牛のミルクのみが、毎日(!)コンテになり、やはり決められた熟成家で大切に育てられているとのこと。

 

コンテが作られたのは1000年くらい前からで、そもそもは、牛乳の保存方法だったそう。戦争中には労働力がなくなり、一時的に生産量が減ったコンテを、みなさんで復活されたことなど、自然だけでなく、風雪や厳しい歴史に耐えたコミュニティや人の力が、今のコンテを作ったというお話が、とても感動的で。

 

田舎には何もない、と安易に言ってしまう私たちの暮らしに、真っ当にノン、と言われた気がしました。

 

また今、コンテの生産者さんたちは、高い品質を維持することによって、高い生活水準を維持しているというお話も、背筋が伸びる思いでした。

 

◆◆◆チーズのテイスティングへ◆◆◆

ファビアンさんの「僕のお話よりテイスティングでしょう」というジョークを皮切りに、いよいよテイスティング

 

まず、チーズのみのテイスティングから。

 

用意されていたのは熟成期間の違う3種類のコンテ。

(手前から8か月、12か月、18か月)

イメージするより、ずっと長いバトン状にカットされています。

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テーブルごとに、美味しいもの好きな人同士、すでに和気藹々。

なんだか小学校の班学習みたいです。

 

ファビアンさんはまず、「視覚と触感、香り」から味わうことを教えてくださいました。

 

まず、「見た目(視覚)」。

今回8か月・18か月がやや黄色いのは、夏づくりの放牧牛のミルクで作ったものだからだそう。(生きた牧草には、天然のカロチノイドが豊富に含まれているため)

よーく見ると、12か月、18か月にはアミノ酸の結晶の白い星が見えています。

熟成期間だけでなく、作った時期も重要ということが分かります。

 

そして「触感」。

チーズのバトンを両手で持って、ゆっくり曲げると、8か月→12か月→18か月の順に弾力が失われていきます。水分が少なくなり、アミノ酸の結晶化が進むことが原因。はっきりと感じられます。

大きめのバトン状のカットも、それで納得(単純に量が多い!と喜んでいたのですが笑)

 

で、「香り」。

チーズは2~3時間室温にならしておくことが重要だそうで、今回もそうして下さっていたのですが、その分酸化して香りも飛んでしまうとのこと。

そこで、チーズのバトンを少し割って、新鮮な香りを嗅いでください、とのことでした。8か月は割るとバターの香り、新鮮な草の香り、アカシア蜜の香りなどなど。そこから熟成するにしたがって、どんどん香りが複雑になっていきます。(ファビアンさんから18か月は「良い皮製品の様ないい香り」との表現が笑)

 

そして「味わい」。

今回、コンテの味を表現する83種類6カテゴリ(乳製品系/果実系/ロースト・スモーク系/野菜系/動物系/スパイス系)のチャートをいただいて。

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確かに、8か月のバターっぽい味わいから、18か月では栗のような風味など、香りと相まって豊かな味わいに。

熟成が進んだアミノ酸粒子の粒粒や若いものの油脂のなめらかさなど、舌の上の「触感」も重要。

私たち日本人が魚などについてのボキャブラリーが豊富なように、ファビアンさんからは「きのこ」の例えが出てきたり。

 

まだチーズだけしか味わっていないのに、もう心は満腹の充実感です笑。

 

◆◆◆日本酒とのマリアージュ◆◆◆

そしていよいよ日本酒とのマリアージュ

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なんと今回は、日本酒用にもう一度チーズのサンプルが提供!

なんて太っ腹っっ!

(後のお土産でもっと驚くのですが・・・笑)

 

日本酒は次の4種(左から。下記サイトで購入可能)。

・御前酒 菩提もとにごり酒火入れ 雄町純米うすにごり(岡山 辻本店)

http://www.gozenshu.co.jp/hpgen/HPB/categories/70122.html

・雪の茅舎 山廃純米(秋田 齋藤酒造店)

http://www.yukinobousha.jp/products/yukinobosha.htm

・梵 GOLD 無濾過 純米大吟醸(福井 加藤吉平商店)

http://www.jizake.com/html/SakeD3023_3.html

・達磨正宗 熟成三年(岐阜 達磨正宗)

https://www.daruma-masamune.co.jp/products/detail.php?product_id=1

<一言で言うと・・・>

・御前酒は、にごり酒独特の癖はあまりなく、かすかな炭酸とメロンのような香り。

・雪の茅舎は、山廃のバナナ香より、飲みごたえがしっかりくる辛口の酒。

・梵は、甘みのある香りで、大吟醸エステル香はあまりなし。さっぱり。(ファビアンさんの「マイタケとかキノコみたいな」というたとえがおもしろい~)

・達磨正宗の古酒は三年だけあって、まだそれほど癖や木香は無く、バランスのいい、古酒らしいカラメルっぽい味わいでした。(若い頃伏見に住んでいて、生意気にも色々飲ませて頂いていたのが役に立ちました笑)

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4番に古酒が入る所が、貴腐やデザートワインも楽しむ国の人らしく。

 

ここでもファビアンさんの講義が。

…実はそこで、前々からうすうす思っていたことを言ってくださって。

 

・・・・・あのー、そのー・・・特にコンテの様な癖が少なく、繊細なナッツやミルクの香りのチーズの時って、赤ワイン、ちょっと味が強い時がないですか?・・・と。

 

そのうっすらした疑惑、ほかにも根拠?が。

 

実は、調理師学校に通っていたこともあって、たまたま一流のソムリエやワインアドバイザーと言われる方のお話を聞く機会もあったのですが・・・

・・・・中には意外に、「ほんとはチーズ、苦手なんだ、ボク。内緒だけどね」と小声で仰る方がいらして。

 

・・・美味しいは美味しいんだけど、チーズと赤ワインを合わせると、さっきまであれだけ繊細に感じていたワインの香りや風味、もちろんチーズの方の味の感じ方も、まるっと変わりすぎる時がある、というか・・・。

 

そしてファビアンさんのお話では、そういう感覚と共に、従来の重いフランス料理を食べて、食後にチーズ、という習慣もいま少しずつ変わり始めていて、フランスでも徐々に、酸味が強すぎない食前酒や白とチーズを楽しむ、という形が広がりつつあるとのこと。

 

そんな中で、日本酒とのマリアージュも考えられているようです。

 

そしてそれぞれの日本酒と、各熟成期間のチーズ。

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ファビアンさんの感想を聞きながら、さっきの味のチャート片手に、テイスティングシートに記入。五感で感じる派、記録魔さんとさまざまです笑。

 

うちのテーブルでは、雪の茅舎が人気。

「干物にも合いそうだし、どの熟成期間にも合いそう、と」

達磨正宗の古酒には・・・

「ドライフルーツも欲し~い」の声が笑。

 

普段のお酒の楽しみ方によって、好みも違い。

呑兵衛度にもよったりして笑。

チーズだけでなく、お酒の保存方法にも話は及んだのでした。

 

あれ以来、コンテも飲むお酒や使う料理に合わせて、熟成期間や製造時期を選んで買ってみようと心に決めました。

 

エプロンなど豪華なお土産の中に、びっくりするほど大きなコンテ(12か月、226g)をいただいたので、家でも作っちゃいました(このレシピは明日笑!)。

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日本酒とコンテチーズ♪

なんだか本場の国の人にお許しを貰ったようで、これから堂々と楽しめそうです笑♪