手のひら【水餃子2種】
突然ですが、大人は手のひらを返します。
選挙の話じゃなく笑。
高校生の時の国際交流イベント。
私はモンゴルからきた画家の趙さんとTシャツづくり。
慣れないシルクスクリーンだったけど、趙さんの下宿で、1日がかりでようやく完成。
その時趙さんが一言。
「さあ、餃子を作りましょう!」
餃子!
グルメブームのずいぶん前笑。
本場の餃子なんて見たこともなく。
もう夕方だったけど、どうやら私のために、前もって材料を用意してくれていた趙さん。
…ニラと卵と豚肉の餃子を作りながら、いろんな話をして下さった。
中国では餃子にニンニクを入れず、薬味として齧りながら食べること。
春は柔らかいニラで作るけれど、季節によって素材は変わること。
当時中国は、共働きが義務だったので、男性は結婚すると急に料理が上手くなること。
唯一家族で作る餃子で、弟さんとよくイタズラしたこと。
ちなみに、本来モンゴルでは麺棒を使う文化がないのだけれど、満州族の趙さんは、漢民族の麺棒が使えるのだそう。
実は趙さん、満州の王族だったお祖父様が、戦争を嫌い、画家となってモンゴルに逃れたのが家業のルーツとか。
暖かいご家族のお話や、広い中国の歴史まで。
…行ったこともない、近くて遠い国の話。
もちろん、美味しい餃子にお腹も大満足。
食べきれなかった分はお土産に。
ただ、すっかり遅くなり、親は当然大激怒。
謎の中国人(笑!)の家で餃子なんて!と車中で大説教。
でも家でお土産の餃子を茹でた瞬間。
…初めて見ました。
大人の手のひらが返るとこ笑。
クルッと。パッと。
趙さんは一気に大ヒーロー笑。
以来水餃子は家族の好物になりました。
思い出すと、魔法の様に生地を伸ばす趙さんの手。大学で留学生の友達が教えてくれた、手をパクっと閉じる包み方。
叶わないモノはたくさんあるけど。
餃子の味は手のひらの味。
ちょっとずつ変えながら、自分の味にして行こう。
今日は作りやすい分量で、皮もあんも30個分ずつに書いていますが、中身は半分ずつ変えても。趙さんのニラ餃子はニラ多めなので、お肉感が好きな人はニラを減らしてもok。
〜水餃子2種(約30個分)〜
<皮(約30個分)>
- 小麦粉 100グラム(どの種類でも。薄く伸ばしたい人は中力や強力などグルテン分の多いものがよいかも)
- 水 50cc
- 小麦粉に水を入れ、よく練ってラップに包み、少し寝かしておく。
- 2.5センチ直径位の棒状にのばし、端から包丁で7ミリ幅くらいに切っていく。
- 麺棒で伸ばし、包む。
※趙さんのつつみ方は真ん中、左、右の3点を押さえる簡単なもの(下図)。水餃子の時は、余りひだを寄せ過ぎない方が良いみたい。生の皮はどんな形にも伸びるので、丸くならなくても全然OK!
左:皮の真ん中に餡をおいて→真ん中(赤丸)をとじ→左と右でひだを寄せる。
(真ん中と左上の図は上から見たところ。左下は横から見たところ)
<趙さんのニラあん(約30個分)>
- ひき肉 150グラム
- ニラ 3分の2束〜1束(お好みで)
- 卵 1個
- サラダ油 大さじ1
- 醤油 大さじ1
- 味噌 小さじ1
- 酒 小さじ1
- ごま油 大さじ1
- 塩こしょう
- (私は入れませんが、お好みで無添加スープの素を小さじ半分くらい入れても)
- 卵は溶いて、サラダ油大さじ1をひいて高温に熱したフライパンでざっと焼く。
- ひき肉に卵、調味料を入れて箸で混ぜる。
- にらを刻んであんに混ぜ、よく混ざったら皮で包んで茹でる。
<豚とセロリのあん(約30個分)>
- 豚ひき肉(できれば粗挽き) 180グラム
- セロリ(柔らかいもの。上の方を葉ごと) 3分の1本
- 味噌(できれば赤みそ) 大さじ1
- 酒 大さじ1
- 醤油 小さじ1
- 五香粉 小さじ3分の1
- 塩こしょう 適宜
- セロリは葉っぱごとあらみじんに刻む。
- 肉に調味料を入れてよく練り、セロリを加えてよく混ぜる。(趙さんのにら餃子は、それほど肉の食感を出したくないので、あまり練っていませんが、こちらはシンプルに肉の味を楽しみたいのでよく練ります。)
- 皮に包んで茹でる。(写真はたまたまスープがあったのでそれで茹で、特価のプチベール(開いた芽キャベツみたいなの)を入れたもの)
※餃子もラビオリも、作った瞬間に金属のバットに入れて、冷凍するとかなり長く楽しめます。